国際交流

【人文学部】インドにてビジネスプラン研修を体験

~他大学と合同でビジネスプランを立てながら、現地の生活を味わうような文化体験をしました~


3月3日(土)~3月20日(火)
人文学部国際文化学科の学生3名が、金沢工業大学の学生チームと合同でインドにビジネス研修として約3週間滞在してきました。今回はその模様を参加学生にインタビューしました。

左 ミキさん (人文学部国際文化学科 3年次 石川県 金沢伏見高等学校出身)
中 シュリさん (人文学部国際文化学科 3年次 石川県 星稜高等学校出身)
右 カズハさん (人文学部国際文化学科 3年次 石川県 星稜高等学校出身)

 

ー今回の研修に参加したきっかけを教えてください。 
カズハ :インドなど南アジアの研究をなさっている小磯先生が「インド人の友達が1ヶ月くらい滞在しているので遊びに来ませんか?」とホームパーティーに誘ってくださいました。そこに人文学部のみんなとお邪魔したのが最初のきっかけです。
そこには金沢工業大学の学生も何人か来ていて、今回のインドでの研修に参加することが決まりました。

ミキ: この研修には金沢星稜大学から私たち3名、金沢工業大学から7名、計10名の学生が参加しました。
インドに滞在して、ビジネスプランを考えたり、インディアンミュージック、民族衣装、現地の食事などインドの文化体験もしました。そういったことを通して、ネットワークをつくることが今回のプロジェクトの大まかな目的でした。

カズハ : 元々のアイデアは、そこで出会った金沢工業大学のメンバーが持っていて、工大と星稜大両方で仲間を集めて一つになったグループです。

ー誘われた時、すぐに参加しようと思った?

シュリ: はい、思いました。小磯先生の影響もあって、インドに興味があったので行きたいなと思いました。

ー行ってみて、どうでしたか?
三人:楽しかったです!

シュリ:初めて行った土地なので、最初はドキドキワクワクという感じでした。あと、ビジネスプランなど立てたことはないので、どんな風になるのかなという気持ちもありました。

カズハ:金沢工業大学の学生たちは、経営やマーケティングを勉強している学科に所属していました。私たちは人文学部なので、普段そういったマーケティング絡みのことを学ぶ機会があまりないのですが、今回一緒にビジネスプランを立てる上で、工大生からもいろいろなことを学びました。

 ミキ:大学も違うし、学部も違う男女10人が集まって、助け合いながらプロジェクトを進めました。

 カズハ:ビジネスプランを立てるためにしたフィールドワークで英語が必要な場合には、私たちが担当しました。マーケティングに関する進行などは工大の学生が担当するなど、それぞれ得意な分野を活かして協力して進めることができました。

 シュリ:10人のメンバーを3つのグループに分けて、インドでできるビジネスモデルを考えようということになって、私たち3人も別々のグループで活動しました。

現地調査から始まって、それぞれのグループでまったく違うアイデアからプランを立てて、最終的にプレゼンテーションできる状態にまとめました。

小磯先生のお友達や、現地でお世話になったインド在住の日本人の方々がいらっしゃって、そのうちの一人はシャープ・インディアの元社長です。その方の紹介で訪問した会社で、英語でプレゼンテーションをしました。

 ミキ:私たちのこのプロジェクトは一度に完成するものではないので、今の段階で何かが形になっている訳ではなくて、第1ステップが終わったところです。

ーこの体験で得たもの、変わったこと、魅力的だと感じたことなどを教えてください。

シュリ:インドに行って「ジュガール」という考え方を知りました。意味は”ちょっとした発想の転換や行動を変えるという「ハック」のような、マハラジャの時代からインドに伝わる問題解決の思考法”のことなんですが、
インドは日本ほど物が豊かではないですよね。限られた物しか無い中でも、工夫してうまく生活していくという考え方、そいういう工夫のことを言います。
それを知った上で、「インドでの生活でジュガールを見つけてください」という課題が私たちに与えられました。
そのことを意識して、アンテナを張りながら生活してみると、「あ、これのことか」「こんなこともある」と気付くようになりました。
日本に帰ってきてからも、そのことを意識するようになって、何か困ったことがあっても「ここで今できることは何か」と考える力がちょっとは付いたかなと思います。

ミキ:私はインドに行って、これまでよりももっと文化に興味が出ました。
今はインターネットでいろんなことを検索はできます。それでも私はあまり調べずに、事前知識がないままインドに行きました。そして現地で様々なものを見て、衝撃が大きかったです。
例えば、民族衣装も「本当に日常的に着ている人がこんなにたくさんいるんだ」とか、日本では日本食もあり、普段の食卓でも各国の料理が食べたりすることが出来ますが、インドで作ってもらったご飯は本当にインド料理のみという感じで、「文化ってこんなにブレないんだ!」ということに驚きました。
もっと、世界の文化というものを学びたい、知識をつけたいと思いました。


カズハ:グループで話し合って活動するとき、色んな人から色んな意見が出てきます。これまでは、私もそこで自分の意見ばかりいうことが多かったのですが、一度人の意見を聞いてから、他の人の意見も含めて自分の意見を言えるようになったなと思います。

 シュリ:私もそう!ここにいる3人とも、割とそいういうところがありますね。

 ミキ:10人でずっと日本以外の国で、しかも同じところで生活しているので、逃げられないというか。その中でどういう風にうまく活動していくかということが、自然と身についたかも。

 シュリ:私たちは1年次の時から同級生として一緒にいるのですが、工大の人たちの中には、学内でも2回くらいしか会ったことがない人もいました。

 ミキ:それで、3週間くらい一緒に生活しましたからね。

 シュリ:一度みんなで役割分担やグループ内でうまく活動するにはどうしたらいいかを話し合ったのですが、それから本当に良くなりました。仲も深まって、嫌なことってそんなになかったですね。

ミキ:研修自体もとても有意義でしたが、なによりメンバーに出会えたことが個人的にはすごく良かったなと思っています。

 カズハ:特に人文学部は、星稜大の中でも校舎が他の学部と離れていますし、他学部との交流があまりありませんでした。
ましてや他大学の学生とこういうつながりを持てたことや、彼らの考え方を知ることができたことも、現地の人達に会えたことも、自分にとって大きな影響がありました。

 シュリ:グループで話し合いをする前は情報がきちんと皆に行き渡らない感じで、リーダーの負担がすごく大きくて疲れていましたし、私たちは何も知らないからどうすればいいのか分からない状態でした。

 カズハ:話し合いをして、役割分担をしたらリーダーの負担も軽くなって、私たちも何をすればいいか自分たちで見つけられるようになりました。

ー成長したなと感じることはありましたか?
カズハ:私のチームは男性メンバーが多かったのですが、特に理系ということもあって、考え方が全然違いました。
でも、「これは吸収できるな」と思ったり、ビジネスプランを通してその人の考え方を知ることができましたし、3週間でそれほど変わることはないのかもしれませんが、やはり少なからず刺激は受けたと思います。

シュリ:私は、物を考える時に違う視点で考えられるようになりました。
これまでは、英語を中心に勉強をしてきましたが、彼らとチームを組んで、論理的思考を学びました。
例えば、ビジネスプランを立てる時に、「こうしたら、お客さんからこういう意見が出るよね」とか「こうしたら、こういう利益があるからこうしよう」という考え方を聞いて、そういう考え方も大切なことだなと。
感情的ではなくて、冷静に「こうなったら、次はこうなって、ここで問題が起きたら、こっち側から考えてみよう」というような。

 カズハ:そういう部分も吸収することができたってことだね。

 シュリ:思考の出発点が全然違うなと思いました。

 ミキ:私はすごく違う考え方だったというまでの印象はあんまりなかったですが、人それぞれ感じ方が違うのもまた新しい発見だったと思います。

ー今後の目標、挑戦したいことを教えてください。
シュリ: 私は将来の夢があるのですが、今回の研修で学んだことで、その夢をビジネスとしてどういう風に実現していくかということを具体的に考えるようになりました。

ミキ: 今後、もっと外に出ていきたいと思いました。
引き続き、自分の目でいろんなものを見たり、体験したりということを続けていきたいです。 私はそういう実行するタイプではなくて、外からの力がないと行かないとか、選べないタイプだったのですが、もっと自分から行動を起こしたいなと思いました。

カズハ : 私も今までよりもう少し海外で何か活動することに意識が向くようになりました。
気づいたことがあって、日本にいてテレビなどで入ってくる海外の情報は、アメリカ・中国・ロシア・北朝鮮・韓国が主ですよね。
インドに行って、日本とインドの深いつながりを知ることができました。例えば、新幹線関連の建設費用をほぼ無利子で貸していることとか。本当はすごくつながりがあるはずなのに、日本のメディアを普通に視聴しているだけでは触れられない事実って多いですよね。
そういうことも自分からアンテナを張らないと知れないことだから、外に出ることも大事ですが、日本で自らに知ろうとする気持ちが大事だなと感じました。

プロジェクトについて

金沢星稜大学人文学部国際文化学科と金沢工業大学情報経営学科の学生が3グループに分かれ、事前に日本でミーティングを行いグループごとにどんなテーマで活動するか決めました。それぞれのグループのビジネスプランについて市場のニーズ、それに対応したプラン、起こりうる問題、解決方法など仮説を立て、インドでの研修2週間の間にフィールドワークの結果等から、実際にはどんなことが起こっているかなどを市場を見て補正していきます。
各チームでプランを詰めていき、最終的に完成した案を現地でプレゼンテーションしました。

ここからは、彼女たちの普段着トークです。
ー3人は1年次の後半から2年次にかけて留学をしましたが、その経験が今回のプログラムに活かされたことはありますか?
ミキ:すごく多かったよね?
留学は人文学部全員がしているから、もちろん役に立つことはたくさんあって、英語はもちろん、例えば海外のレジなどでありがちな、ちょっと適当な感じが「あ、懐かしい」と感じたとか。
プロジェクトメンバーの中には海外が初めての人もいて、少しは自分たちの経験が役に立ったと思っています。
特に、私以外の2人はSJPでカンボジアでのボランティア活動を経験してるから、現地での洗濯や、バスルーム事情とか、すべてが整った生活環境ではない世界を経験していたのですが、私は留学先がカナダだったので、インドで初めてそういった生活を体験をしました。
まだまだ知らないことがたくさんあるんだなと思って。だから、一番そのことが心に残っているのかなと思いました。2人は一度経験しているので、あまり大きな印象としては残ってないかもしれませんが、私の中では、結構衝撃が大きかったですね。
シュリ:私と、カズちゃんは1年次と2年次の時にSJPでカンボジアのフリースクールで、子どもたちに日本語や英語を教えるボランティア活動『世界の教室から』に参加しました。そこの生活基準を体験しているので、インドでは何とも思わなかったです。
カズハ:シャワーの「ちょろちょろ」くらいは、水が出るならOKくらいです。
ミキ:自分では気づかないこともあるんですよね。インドから帰国した後、家族に言われたことがあります。
おばあちゃんちに行ったんですが、家族は「シャワーの水流が弱い」と言っていました。私は何とも思っていなくて、「どういうこと?」と聞いたんです。で、家族から「ミキはインドと比べているから、気づかないんだね」と言われました。そんな風に、家族から言われてやっと気づいたこともあって、少しは色んな環境に対応できるようになったのかなと思います。
ー人文学部国際文化学科を目指す高校生にむけて
カズハ:私たちは1期生で先輩がいないので分からない面もありますが、割と自由です。
今回の研修も、自分たちで手を伸ばして、目を開いて、一歩を踏み出すのもそうですし。縛りがない分自由なので、自分たちでつくっていけるのが人文学部の良さだと思います。
人文学部は1年次と2年次の間の春休みは全員留学しているので、2年次終わりの春休みをどう使うかが本当に大事だなと思いました。
ミキ:このメッセージは大事ですね。
シュリ:私は大学1年次の時はずっと英語を勉強していて、留学で日常会話ができるくらいになって、英語に自信をつけました。
留学中も色々な国に旅行に行きました。高校生の時だったら怖くてできなかったけれど、英語ができるという自信があるから行けました。インドや他の国に行くのも、日本語だけではなくてもう一つ他の言語が使えるから自信を持てました。
あと、それだけではなくて、他の面でも自分の意思で行動するとか、物怖じせずに人に物を尋ねるとか、そういうことが普通にできるようになりました。そういった積極性のおかげで、今回のようにインドに行きたいなと思ったら自分で行動できたんですよね。
ミキ:「海外に行きたいな」「英語好きだな」と漠然と思っていながら、大した行動には移していなかった高校生の私に言いたいです。
星稜大に入学したら、留学もできるし、刺激を身近に感じられます。カナダへ行って、インドへ行って、今はこれからの旅行を計画中です。
こうやってアクティブになれるということを、あの頃の私に教えてあげたいです。「本当に海外に行ってるよ」って。多分びっくりすると思います。今の方がいい自分だと思えるので、「自信を持って」と背中を押してあげたいですね。