
トピックス
【経済学部】労働問題·労働条件に関する啓発授業が行われました

8月1日(水)
これから社会に出ていく学生が労働問題や労働条件の改善等について理解を深め、自分を守るための知識をつけられるよう、労働問題に関する有識者として、弁護士の海道宏実さんと、息子さんを過労死で亡くされたご遺族が本学で講義をしてくださいました。

ご遺族の方は、学生時代からボート競技をしていた精神的にも肉体的にも強いはずの息子さんを失った喪失感と、何かできなかったのかという後悔に今も苦しんでいること、それでも過労死と言う悲しい別れを繰り返したくないという思いをお話しくださいました。
海道弁護士からは、これまでに労災が認められた過労死が起こった現場の深刻な状況が学生たちに伝えられ、過労死等防止対策推進法についてもご説明いただきました。また、主要国の年間労働時間と比べて日本(と韓国)の年間労働時間が突出して長いことがグラフで示されました。学生たちに「物事は、多方面から考え、見ると様々なことが解ってきます。就活やアルバイトの時にも考えることで、知識がつきます」とメッセージをいただきました。
担当教員の、「これから就職するにあたっても、他人事ではなく身近にある話として心に留めてほしい」という言葉に学生たちの表情が引き締まりました。
※今回の授業は、平成30年度厚生労働省委託事業(学校への講師派遣支援事業)の一環で、「労働問題·労働条件に関する啓発授業」として行われました。(担当教員:経済学科 曽我 千春教授/経営学科 神﨑 淳子講師)
学生のコメント

経済学部経済学科3年次 K·Hさん(福井県 北陸高等学校出身)
月平均100時間の残業や残業を認識していないという企業・学校に対して憤りを覚えた。過労死に繋がる原因、対策を深く学ぶべきだと思った。これから社会に出るうえで過労死の現状を理解しておくべきだと思った。

経済学部経済学科3年次 M·Hさん(石川県 遊学館高等学校出身)
実際に遺族の方にお話を聞いて、これ以上同じ悲劇を誰も起こしてほしくないと思った。長時間労働は体力的な疲労だけではなく、精神面にも大きく関係する。
友人や同僚などまわりから好かれる存在であったのに、自ら命を絶つということが信じられないと思った。残された遺族が納得いくように真実を伝えてほしい。過労死は、決して目を背けてはいけない大問題だと考える。
経済学部経済学科3年次 M·Yさん(石川県 大聖寺高等学校出身)
今回実際に、遺族の方のお話を聞いて、過労死の重さを改めて実感した。特に、遺族側の原因追及の面で、「学校側も責任を認めたくないのか何も教えてくれない」「とにかく真実を知りたい」というのがとても印象的であったのと同時に、これから追及していかなければいけない問題点だと感じた。
社会政策論
授業意図
近年、「働き方」「働かせ方」は多様化し、発生する問題も多岐にわたっている。マスコミも貧困や「過労死・過労自殺」「若者を使い捨て務する企業」などの実態を報道しており、問題から生じる悲惨な状況は広く世間に知られることとなった。 社会政策は、このような「働き方」「働かせ方」によって生じるさまざまな問題を解決する国の制度でありシステムである。 本授業では、雇用・労働の諸問題を資本主義社会、雇用・労働政策、労使関係の構造的な問題としてとらえ、問題の生じるメカニズムを考察していく。
科目の具体目標
- 資本主義社会における労使関係、労働者の特徴を理解する。
- 新自由主義・構造改革とは何かを学ぶ。
- 失業とは、何かを学ぶ。
- 「雇用の弾力化」「新日本型雇用システム」の本質を学ぶ。
- 「働き方改革」・「一億総活躍社会」の方向性について考える。
- 労働権について学ぶ。