金沢星陵大学女子短期大学部

学長室の窓から

「旅立ちの春を想う朝の散歩道」

3月15日

若い頃、私は哲学者カントに憧れました(「学長室の窓から」2020.10.15参照)。そして、知性はそもそも無理だが、町の人々がカント先生の姿を認めて時計代わりにしたという散歩(と赤ワインの愛好)だったら、真似できるかもしれないと、いつの間にか日課になった朝の散歩。天候に左右されることはめったにありません。毎朝6時から1時間、杜の里から朝霧公園に至る浅野川沿いの遊歩道を往復します。3月に入り、日の出が早くも6時10分台、小さなヘッドランプも不要になりました。
 
今朝がたは冷え込んだのでしょう。昨夜来の雨が枯草の上にうっすらと雪となって残っていたところもありました。春が温みよりも先に光となって訪れ、川べりに猫柳の芽が白く膨らんでいるのが見えます。黄色の蒲公英(たんぽぽ)も見かけました。
 

写真は筆者撮影、田上付近の浅野川沿桜並木遊歩道

間もなく、3月18日に晴れの卒業・旅立ちの日を迎えるSei-Tan生の皆さん。おめでとうございます。「誠実にして社会に役立つ人間」になってください。
 
「誠実」というのは、自分の夢や理想に向かい、それを実現するために、日々、目の前のことがらを一つ一つきちんと、手を抜かずにこなし続ける力を持った粘り強い人のことを言います。そして、その先にあるのは「生きて幸せになること」です。人間は幸せになるために生きるのです。ぜひ、このことを覚えていてください。
 
長い人生には、もしかしたら、幸せじゃないと思う時があるかもしれません。その時は「Sei-Tanスマイル」を思い出しましょう。「Sei-Tan スマイル!スマイル!スマイル!」です。
 
それでもなお苦しい時、あるいは友人が悩んでいる時、あるいは自分の家族や子どもが落ち込んでいる時、立ち上がる勇気と元気が出る魔法の言葉をお教えします。自分も周りもきっと明るくなります。私も密かな、かつ頻繁な利用者です。
 
「ちんぷくまんぷく あっぺらこのきんぴらこ じょんがらぴこたこ めっきらもっきら どおんどん!」(作 長谷川摂子、画 ふりやなな、1990年、福音館
 
もし忘れてしまったら…。心配要りません。いつでもSei-Tanに連絡ください。うれしいにつけ、悲しいにつけ、Sei-Tanはあなたの母校として、いつでも帰ってくることのできる特別な場所なのですから。
 
皆さんの幸せを祈ります。道すがら、旅立ちの春が近いことを想わせる朝でした。