金沢星陵大学女子短期大学部

学長室の窓から

「自分を超える」

2月25日

昨年9月に行われたSei-Tan(金沢星稜大学合同)進路支援課「ほし☆たび・北海道2022」ツアーの報告冊子ができました。旅のテーマは「海を越え、ジブンを超える」。4泊5日の旅が「一歩踏み出す勇気」「自信を持つきっかけに」「なりたい自分に近づきたい」など大きな成果を上げたことが分かります。すごいですね。でも私がさらに素晴らしいと思ったのは2月16日に開催された「ほし☆たび・北海道2022・半年後の再会(同窓会)、今後の目標宣言する会」でした。

というのも4泊5日の研修が、比較的意識の高い学生さんたち、スタッフおよそ60名が集まった船内や研修施設での研修ということもあって、周囲の「自分を超えよう」熱気に煽られて(enthusiastic discussion)、いつの間にかそれに同化するということは人間往々にしてあるものです。つまり、一度なら自分を超えられる。しかし熱狂から自由になって、繰り返し自分を超えることの必要性が理解され、そのための意志や覚悟が伴っているのかどうかが問われなければなりません。

筆者撮影 浅野川 雪をかぶった猫柳

「進化」という考え方には個体レベルと種のレベルの進化があるそうですが、個の進化というのは、昨日の自分を今日は超え、明日にはさらにそれを超えていくという、日々「自分を超える」営為に他なりません。ちなみに、個を超える種のレベルでは、通常は子を生すことがその可能性を生み出すことになるのでしょう。つまり、「ほし☆たび・北海道2022」及び「半年後の再会(同窓会)、今後の目標宣言する会」は、学生さんたち一人ひとりの日々の進化を求める試みであって、単なる就職支援策ではないことが分かります。

最後に、同様のことをニーチェの言葉をかりて述べておきます。
「人間は、動物と超人とのあいだにかけ渡された一本の綱である。—一つの深淵の上にかかる一本の綱である。一個の危険な渡り行き、一個の危険な途上、一個の危険な回顧、一個の危険な戦慄と停止、である。人間において偉大であるところのもの、それは、人間が一個の橋であって、目的でないということである。人間において愛されうるところのもの、それは、人間が一個の過渡であり、一個の没落であるということだ」(ニーチェ(吉沢伝三郎訳)『このようにツァラトゥストラは語った(上)』講談社文庫p.26)