金沢星陵大学女子短期大学部

学長室の窓から

「同僚性」ということ

7月15日

2022年6月。『日経キャリアマガジン』「価値ある大学2022-2023 就職力ランキング」小規模大学部門で、金沢星稜大学が全国1位に選出された。この中で「対人力」というのは、①コミュニケーション力がある、②ストレス耐性がある、③適応力ということだったというニュースはすでにお知らせしました。(http://www.seiryo-u.ac.jp/u/new/2022/0602_2.html

筆者撮影、蓮の同僚たち(津幡町船橋)

この「対人力」に、私は新たに「同僚性」を加えたいと思います。同僚が互いに支え合い,成長し,高め合っていく関係性のことです。「チームワーク力」とも少し違います。英語ではcolleagueness(コリーグネス)とかcollegiality(コレッジアリティ)というようです。

collegeカレッジというのは、もともとはラテン語で修道院の「同僚・仲間」を意味するコレーグに由来します。修道院は、キリスト教の神学を学ぶ所。神の前には人間皆対等。年齢、性別、階級、職業など全く関係ありません。例えば聖書の解釈をめぐって、どの説が正しいかを決めるのは論理や言葉であって、その人がどんな地位にあるとか年齢であるとかは全く関係がないのです。神が真理に置き換えられたら大学になり、真理に一番近いことが意味を持ちます。

一般に、軍隊組織や企業では経営トップが決断を下したら、部下はそれに従います。大学や小中高等学校などの教育機関でも最近はガバナンスの強化ということがうたわれて、トップ・ダウンのマネージメントが強化されています。私も学長としての立場と役割から、教学運営の責任者として必要な決断や判断を下し、それについて責任を負います。

けれども、本学教員・職員・学生の皆さんの多様にして活発な教育・研究活動の一端を見るにつけ、自分の専門とする分野の知や活動領域がいかに狭いかということに気づかされます。ある特定の分野についてだけ、他の人より多少知っているが、それ以外についてはあきれるほど知らない。だから謙虚に教え合い、意見も言い合う。これができるのが「同僚性」です。

「対人力」を考える時に、リーダーシップやフォロアーシップとともに、この「同僚性」の精神に基づいた発言や行動力も身につけておきましょう。大学(カレッジ)で、あるいはカレッジを卒業しましたというならば、身につけておかなければならない大事な「チームワーク力」だと思います。