「2つのありがとう」
11月25日
10月に台北に出かけたお話をしました(学長室の窓から「流星30年同窓会」2023.11.5)。台北は人口250万人の大都会。その中心部に、一周約2.3キロ、26ha(東京ドーム5個分)の広大な「大安森林公園」があり、緑が美しく、樹々や草地にはリスが遊び、たくさんの野鳥も見かけます。私はこの公園が大好きで、台北ではたいていこの近くのホテルを定宿としています。
いつも朝6時からこの公園まで足を延ばし、日課のウォーキングをこなします。実に多くの中高年の男女がグループ、あるいは夫婦・友人、あるいは個人で、太極拳や音楽に合わせた体操・ダンス、ジョッギングや各種ストレッチなどで早朝運動を楽しんでいます。2016年、台湾師範大学Lin Mei-Chun先生の協力を得て、「海外のスポーツ文化と歴史をフィールドする」と題して、当時の三好・宮田君らゼミ生たちと大安森林公園での早朝運動実態調査を行い、インタビュー調査をしたことも懐かしい記憶です。その時には朝6時から7時の間におよそ1300人の人々が早朝運動に取り組んでいました。
台北の中心街は大通りの幅が広く、午前7時を過ぎると猛烈なラッシュを迎えます。とりわけ大量のバイク・オートバイが行き交います。交差点には歩行者用の信号があって、残り時間も知らせてくれるのですが、慣れない横断にはなかなか勇気が要ります。私は信号だけでは心もとなく、いつも誰か歩行者を見つけ、その後ろから付かず離れず渡ります。
今回、たまたま中学生と思しき制服とカバンの男子生徒がおりました。この生徒、何を思ったか、渡り終えたばかりの横断歩道を小走りにもとの方向へ駆け出したのです。すでに残り時間は10秒位で、日本で言えば黄色の点滅信号だったのです。この男の子が向かった先には杖を持ったお婆さんがまだ横断途中でした。この男の子、お婆さんの手を取り、片手を上にあげて横断を手伝ってあげたのです。停止中の車列も渡り終えるまで見守ってくれました。無事渡り終えて、男の子も笑顔、お婆ちゃんもうれしそう。あまりにも自然なしぐさに「ああこの男の子のお祖母ちゃんなのだ」。私はてっきりそう思いました。
その後男の子は何事もなかったように、少しはにかんだ風情で学校方面に歩き出し、お婆ちゃんは何度もお辞儀をしながら、嬉しそうにしばらくその後姿を見送っていました。実の孫とお婆ちゃんではなかったのでしょう。
私は台湾に残る偉大な儒教文化を目の当たりにし、台湾の教育・文化水準の高さに感銘を覚えました。
いつも朝6時からこの公園まで足を延ばし、日課のウォーキングをこなします。実に多くの中高年の男女がグループ、あるいは夫婦・友人、あるいは個人で、太極拳や音楽に合わせた体操・ダンス、ジョッギングや各種ストレッチなどで早朝運動を楽しんでいます。2016年、台湾師範大学Lin Mei-Chun先生の協力を得て、「海外のスポーツ文化と歴史をフィールドする」と題して、当時の三好・宮田君らゼミ生たちと大安森林公園での早朝運動実態調査を行い、インタビュー調査をしたことも懐かしい記憶です。その時には朝6時から7時の間におよそ1300人の人々が早朝運動に取り組んでいました。
台北の中心街は大通りの幅が広く、午前7時を過ぎると猛烈なラッシュを迎えます。とりわけ大量のバイク・オートバイが行き交います。交差点には歩行者用の信号があって、残り時間も知らせてくれるのですが、慣れない横断にはなかなか勇気が要ります。私は信号だけでは心もとなく、いつも誰か歩行者を見つけ、その後ろから付かず離れず渡ります。
今回、たまたま中学生と思しき制服とカバンの男子生徒がおりました。この生徒、何を思ったか、渡り終えたばかりの横断歩道を小走りにもとの方向へ駆け出したのです。すでに残り時間は10秒位で、日本で言えば黄色の点滅信号だったのです。この男の子が向かった先には杖を持ったお婆さんがまだ横断途中でした。この男の子、お婆さんの手を取り、片手を上にあげて横断を手伝ってあげたのです。停止中の車列も渡り終えるまで見守ってくれました。無事渡り終えて、男の子も笑顔、お婆ちゃんもうれしそう。あまりにも自然なしぐさに「ああこの男の子のお祖母ちゃんなのだ」。私はてっきりそう思いました。
その後男の子は何事もなかったように、少しはにかんだ風情で学校方面に歩き出し、お婆ちゃんは何度もお辞儀をしながら、嬉しそうにしばらくその後姿を見送っていました。実の孫とお婆ちゃんではなかったのでしょう。
私は台湾に残る偉大な儒教文化を目の当たりにし、台湾の教育・文化水準の高さに感銘を覚えました。
さて、日本に戻った11月6日(月)。しぼしぼと氷雨が混じる初冬の暗い夕暮れ時でした。大学の正門を出て西のバス停方面に歩いていると、横断歩道の手前にお婆ちゃんの乗ったシニア・カーが止まっています。どうしたのかなと思っていると、星稜高校側から渡ってきた二人の女子高生。一人が何か拾い上げてお婆ちゃんに渡し、もう一人が傘を差しだして、二人でシニア・カーに付き添って歩き始めました。きっとお婆ちゃんが何か落として身動きできずに困っていたのでしょう。
後ろから追いつきながら、「ありがとうね」と私。「ハイ」と明るい笑顔で返してくれた女子高生二人。星稜高校、そして台湾の中学生。私たちはまだまだ未来に夢を託すことができそうです。その意味でも「ありがとう!」
後ろから追いつきながら、「ありがとうね」と私。「ハイ」と明るい笑顔で返してくれた女子高生二人。星稜高校、そして台湾の中学生。私たちはまだまだ未来に夢を託すことができそうです。その意味でも「ありがとう!」
参考文献
金沢星稜大学人間科学部大久保ゼミ(連携協力国立台湾師範大学Lin Mei-Chunゼミ)
『3年スポーツフィールド演習報告書:海外のスポーツ文化と歴史をフィールドする‐2016 Sports Field in Taipei』2016.12(非売品)
金沢星稜大学人間科学部大久保ゼミ(連携協力国立台湾師範大学Lin Mei-Chunゼミ)
『3年スポーツフィールド演習報告書:海外のスポーツ文化と歴史をフィールドする‐2016 Sports Field in Taipei』2016.12(非売品)