金沢星陵大学女子短期大学部

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【山田ゼミナール】尾崎紅葉『金色夜叉』を読み味わいました

2022.06.20

6月14日(火)

文学作品を研究する山田ゼミでは、1年次で金沢三文豪(泉鏡花・徳田秋声・室生犀星)のつながりについて学びました。2年次では、泉鏡花と徳田秋声がともに師事した尾崎紅葉に注目し、代表作である『金色夜叉』および作品に関する論文を読むことにしました。
小学校教員を目指す学生が所属する金沢星稜大学人間科学部こども学科の馬場治教授のゼミでは、『金色夜叉』の紙芝居朗読を練習されています。そこで、馬場ゼミの学生の紙芝居を鑑賞することで、さらに作品の内容や明治時代の恋愛観について考察を深める活動を企画しました。

金沢ふるさと偉人館前にて

当日は、ゼミ合同で金沢ふるさと偉人館を訪れました。三文豪だけでなく、多数の金沢ゆかりの小説家や詩人、俳人の功績を学びました。その後、『金色夜叉』が発表された明治時代の建造物である石川四高記念文化交流館に移動しました。多目的利用室をお借りし、紙芝居の鑑賞と意見交流を通して、『金色夜叉』を多角的に読み味わいました。石川近代文学館も見学し、明治の雰囲気を感じながら文学に対する見識を深めた有意義な一日になりました。
(文:担当教員 山田 範子 准教授)

参加学生のコメント

経営実務科 2年次 T・Mさん(富山県 高岡西高等学校出身)
ゼミでは『金色夜叉』を読むだけではなく、それに関する論文も読み、考察を深めました。論文では宮と貫一の恋愛観を、明治期の恋愛論と交えて論じられており、宮は明治期の女性に求められていた良妻賢母とはかけ離れた人物像でしたが、宮のように自分の思うままに行動できる奔放さを、密かに羨ましいと思っていた明治期の女性は多くいたのではないかと思いました。恋愛の多様性を非道な出来事を用いて印象的に表現している作品のように感じました。
経営実務科 2年次 H・Kさん(石川県 金沢西高等学校出身)
雅文体で書かれた『金色夜叉』を最初に読んだ時、内容が分からなくて想像しにくいと思っていました。ですが、『金色夜叉』について論じたいくつかの論文を読んでいくうちに段々理解できるようになりました。貫一の宮に対する重たい程の愛と、自分に酔いすぎて自分にとって良い判断を怠ってしまうこの話は、人間のいやらしい部分を表現していると思いました。紙芝居を鑑賞した時、貫一と宮が3次元になったかのように思えるほど感情が乗っていて、素晴らしいと思いました。

経営実務科 2年次 M・Fさん(石川県 星稜高等学校出身)
ゼミで学んだ『金色夜叉』について、紙芝居を見ることでより理解が深まりました。こども学科の皆さんの読み方は本当に上手で、聴きながら思わず貫一と宮に感情移入していました。この紙芝居をふまえて、もう一度論文を読むと見方が変わるのではないかと思ったので、改めて読んでみたいです。
経営実務科 2年次 W・Rさん(石川県 星稜高等学校出身)
尾崎紅葉の『金色夜叉』は、題名は聞いた事があったけれど、内容は全く知りませんでした。ゼミで『金色夜叉』に関する論文を読んだ際に、話の流れをつかむことができました。合同のゼミ活動では、紙芝居の『金色夜叉』を鑑賞しました。それぞれ役に別れて、効果音もつけながらの紙芝居上演は、聞いていてとても楽しかったし、内容も深まったように感じました。

経営実務科 2年次 I・Yさん(石川県 小松市立高等学校出身)
ゼミで『金色夜叉』の論文を読んでいたので、大学生の方々の紙芝居をより楽しみながら鑑賞することができました。論文で読んだ『金色夜叉』では、登場人物の行動や発言が文章で書かれているので、文章を通して物語を味わうことができたのですが、紙芝居では、絵や声、効果音で物語を味わうことができました。『金色夜叉』を違う視点で楽しむことができました。
経営実務科 2年次 K・Mさん(石川県 星稜高等学校出身)
ゼミで論文を読んだことをきっかけに『金色夜叉』の物語の流れを知りました。論文で考察されていた内容を理解してから紙芝居でもう一度物語の流れを聞いた時に、別の解釈もできるのではないかと考えることができました。そして、紙芝居を読む人によって、声の強弱、感情の入れ方が違うため、そのような点でも物語の解釈が変わってくるのではないかと思いました。一つの物語でも、人それぞれ解釈が違うため、やっぱり文学は面白いと思いました。

四高記念文化交流館前にて