金沢星陵大学女子短期大学部

学長室の窓から

「夢を持ちましょう」

4月5日

金沢の桜も満開。見事に咲き誇り、金沢星稜大学女子短期大学部に入学された皆さんを祝うかのようです。保護者の皆様、教職員とともに、皆さんの入学式を執り行うことができますことを、心より喜びたいと思います。これまでの皆さんのご努力に敬意を表しますとともに、皆さんを支えてこられましたご家族や関係者のみなさまにお祝いを申し上げます。

筆者撮影、浅野川沿いの満開桜並木

さて、皆様ご承知の通り、新型コロナによって、世界は大きな危機と変動の時期を迎えております。WHOによりますと、世界の新型コロナウイルス累計感染者は、3月18日時点で、1憶2千万人を超え、280万人を超える方々が亡くなられています。3月21日で東京など首都圏の緊急事態宣言は解除されましたが、感染状況は決して予断を許しません。
 
そうした中で感染予防に最大限の注意と対応をこころがけつつ、私たち星短は、皆さんの2年間の大学生活を豊かで実り多いものにすべく、総力を挙げて皆さんとともに歩んでまいります。ただし、主役は皆さん一人ひとり、われわれ教員、職員は叱咤激励するサポート役です。この音楽堂での入学式もその第一歩です。
 
本日、まず皆さんに覚えていただきたいことがあります。星短生のスローガンです。「夢を力に、2年で4年を超える。明日輝く女性(ひと)になる!」
みなさん夢を持ちましょう。本学は経営実務科の女子短大です。将来、あなたは北陸地域の産業やビジネスの世界で、どんな仕事について働いてみたいと思いますか。まずその夢を描いてみましょう。企業の事務職として働きたいと考えている方。もちろん大丈夫です。そのためには、簿記や税務会計能力はもちろん、その土台には例えば美しい日本語を話す、きちんとした文書を作成するなど、基本的な教養と皆から慕われる人柄・人格が必要です。本学には、簿記会計、税務会計はもちろんのこと、元アナウンサーの先生がおられて、やさしくも厳しく指導します。
また英語で、海外からのお客様に日本の文化を紹介する、見積・請求・納品書なども英語で対応できる、国際的なビジネスをやってみたいと考える方もいると思います。これもOKです。本学にはネイティブの先生も、国際会議の通訳や、元国際線のフライトアテンダントなど、実務にたけた先生がおられて、国際水準の女性ビジネス・パーソンを育てます。
 
また、現代のビジネスにはIT技能の習得が不可欠。パソコンやタブレットを活用して、文書作成や予算・決算書作成もできるようにいたしましょう。本学には、日本はもとより海外でも教育に携わってきた先生がおられて指導してくださいます。日本はIT教育分野で、アジア諸国に5年ほど後れを取っているのだそうです。台湾や韓国など海外先進地の実態に触れながら、国際的な水準のIT技能を身につけましょう。
一方で忘れてはならないのが、石川県のみならず北陸地域の過疎過密の問題です。なぜ若者が故郷を離れるのか、帰りたくても帰れないのかというと、仕事がないからです。なければ、新しく作りましょう。星短の卒業生で、大学時代サークル活動で知り合って結婚し、能登半島の漁師さんに嫁いだ女性がいます。子どもも生まれて幸せに暮らしているそうですが、夫がとってきた魚やカニを、星短で培った経営実務のノウハウを使って加工販売し、地域に新しい風を吹き込んで、評判になっているそうです。これも一つの夢の実現です。
また自分でパン屋さんをやってみたい、地元を豊かにするために、特産品を使った新しい商品を開発して、販売してみたい。そういう人もいらっしゃると思います。星短には自らも地元野菜の小坂レンコンを使ったチョコレート・クッキーを試作するなど、起業(ベンチャー)を後押しする経営学の先生もおられます。
 
公務員志望の方には、充実したキャリア・ディベロップメント・プログラム(CDP)がありますし、皆さんの進路全体は進路支援課が強力にバックアップします。
このようにして、昨年度(3月31日段階)の実質就職率なんと93.5%、北陸の短大ではトップレベルだと思います。四年制大学でも難関とされる難関企業にも星短生はぐいぐい食い込んでいます。
同じように、昨年度、国家公務員・地方公務員にも延べ13名が合格いたしました。また2年間一生懸命勉強しているうち、もう少し勉強してみたい、家族も応援しているということで、金沢星稜大学や他大学、専門学校へも計7名が進学しています。
このように見てみますと、社会の星短教育への期待には大きなものがあることがわかります。星短は四年制大学に比べて、レベルが低いわけではなく、二年間で大学教育を完結させる高等教育機関なので、選択と集中、あれもこれもではなく、しっかりとターゲットを絞って集中的に勉強するところに特色があるのです。私たち教職員は自信と誇りをもって、誠実にその使命を果たしたいと思います。
 
ですから、「夢を力に、2年で4年を超える」というのは「2倍勉強しましょう」ということでもあるのです。そのため、やや忙しい2年間になりますが、その分、充実度も2倍です。中には「のんびりした4年より、充実した2年のほうが良い」と、あえて星短を選んでくださる方もいます。短大2年を終えて、有利な就職を選ぶもよし、さらにプラス2年間の意識で大学に進むというのも新しい学び方も、賢い選択ではないかと思います。
また星短は女子大というところに特色があります。私たちは、皆さんに人間としてどう生きるかを語りますが、型にはまった女性の生き方を教えるわけではありません。女性としてどう生きるかは、皆さんのお母さんやおばあさん、先生方など大人の女性をよく見て、最終的に皆さん自身が決めることなのです。
 
日本の社会では、男女平等とはいいながら、往々にしてリーダーシップは男性に任せてしまいがちです。しかし、星短では女子大ゆえに皆さん自身がとることになります。それによって得られる経験や自信、またフォロアーシップも着実に身につけることができます。ジェンダーにとらわれない、女性の特性や品格ある振舞、ブライダル講座、ビューティー講座なども、その道のプロを招いて徹底して磨き上げます。男女共同参画社会の実現には、このような輝く女性の果たす役割がいっそう重要になります。
一方、皆さんの中には、男子共学に親しんできて、女子だけの環境に慣れることができるか不安と感じる人がいるかもしれません。しかし全然心配要りません。同じキャンパスには2千人ほどの男子がおりますので、決して寂しいことはないでしょう。昨年天皇杯全国大会に出場した金沢星稜大学サッカー部のマネージャーは星短の女子学生でした。大勢の男子部員たちを見事に取り仕切っておりました。
 
皆さんまず夢を持ちましょう。そこから始めましょう。「2年で4年を超える」星短のカレッジライフは当然密度が濃くなります。日々の事柄を一つひとつ、きちんと手を抜かずにこなし続けるには、楽しいことも、辛いこともあるかもしれません。でも一人ではありません。生涯にわたって付き合える友もできることでしょう。
 
また、星短が金沢星稜大学や大学院と同じキャンパスにあるという強みもぜひ生かしてください。図書館や情報関連センター、進路支援サポート、スポーツ施設、講義室、クラブ・サークル活動、大学行事なども共有することができます。先生方も学生も、経済、人間、人文といった様々な専門分野を持ち、さらに、留学生、そして皆さん、とバラエティーに富んでいます。若い時に多様な考え方や人間に触れることは一生の宝物になります。
結びに、皆さんが、金沢御所町の自然豊かなキャンパス環境で、多様な文化や考え方をもつ仲間と交流し、充実した教育プログラムと先生方の指導のもと、夢をかなえる様々な力を身につけ、2年後に輝く女性になることを祈念して、お祝いの言葉にかえます。