学長コラム

「夏休み」

2026.08.07

 この夏、皆さんはどこか旅行に出かける計画はありますか?私はこの夏、国内2か所、海外1か所へ出かける予定です。もっともこれらは業務目的の出張ですので、旅行とは言えないかもしれませんが、日常とは少し違った場所に出かけてゆく旅行の要素は多分にあります。

 大学教員は思いのほか出張の多い仕事です。教員はそれぞれ専門領域の研究者の集まりである学会という組織に入っています。人によっては5つぐらい学会に入っているかもしれません。この学会は年に1、2回、お互いの研究成果を発表する研究会(これ自体も学会と呼ぶ)を開催しますので、それらに参加するだけでも結構な回数になります。おまけに学会は地方支部の持ち回り開催も多いので、全国各地、北海道や沖縄にある大学へも出張することになります。研究分野にも拠りますが、開催期間中には専門家の解説を聞きながら現地を廻る、エクスカーション(excursion)と呼ばれる「日帰り現地見学ツアー」まで企画されます。こうなると日常から離れる感覚も強くなり、がぜん旅行の雰囲気が漂い始めます。ちなみに金沢で開かれる学会は、訪れる先生方にも大人気なのだそうです。

 訪れた先で遊ぶとか、おいしいものを食べるとか、好きなアーティストのライブに行くとか、何か目的があって出かけるのが旅行です。目的があるのか無いのかさえ分からない、さ迷い歩くこと自体が目的のようなものは、旅(たび)と呼んで旅行とは少し違ったものとして捉えられてきました。旅の非日常性がインスピレーションを掻き立てるのでしょう、生涯を旅に費やした詩人や芸術家は数知れません。

 日常から離れて異なる環境に身を置く体験は、あなたの見聞が広がってゆく良い機会となるでしょう。しかし見聞を広げること自体を目的にしてしまうと、それはもはや旅行ではなく、楽しくない出張に近づく気がします。皆さんに、日常に戻って来れなくなるようなワイルドな旅を勧めようとは思いませんが、自由な時間の多い夏休み、ぜひ旅行に出かけてみることをお勧めします。