地域連携

【地域連携】『石川県鉄工機電協会』との懇談会を開催しました

2026.10.09

9/7(月)

本学大会議室にて『一般社団法人石川県鉄工機電協会』と本学教授陣による懇談会を実施しました。
本学からは副学長の野林晴彦教授と青木卓志教授、「経済学部」部長の木村正信教授、「人間科学部」部長の直江学美教授、「人文学部」部長の前田昌寛教授、「教養教育部」部長の永井暁行教授、「SDGs産学地域連携センター」運営委員の梅澤朋一教授、事務局長の小山裕之が、『一般社団法人石川県鉄工機電協会』からは専務理事の中山隆志氏、事務局長の紺島和昭氏、経営支援室室長の森田靖恵氏と同室主事の西野尊氏が、同協会所属の企業からは計5社の代表者1名ずつが参加しました。
700以上の企業や組合が加盟する『一般社団法人石川県鉄工機電協会』と本学の連携は2024年度から始まっており、今回の懇談会も、5月に県産業展示館で開催された同協会主催の機械工業の見本市「MEX金沢」への現役学生の参加と併せた恒例行事となっています。

開会の挨拶は本学の野林副学長が務め、協会加盟企業での本学卒業生の積極採用や指導への感謝の言葉と、建学の精神(誠実にして社会に役立つ人間の育成)の実行に向けてより「地域社会に求められる」改革を進めている本学の意向(地域企業への協力姿勢の強化)を(協会側に)伝えます。
懇談会への参加を快諾した5企業に対し、本学側が忌憚のない意見や要望などの「本音」を求めたこともあり、会場は終始活発かつ和やかな空気に包まれました。

野林副学長に続いて、懇談会の趣旨説明を担ったのは司会進行役を務める「SDGs産学地域連携センター」センター長の村上統朗教授です。
今年度の懇談会に参加する企業の担当者は『株式会社金太』財務部部長の北条嘉正氏、『澁谷工業株式会社』総務本部人事部次長の八講陽一郎氏、『大同工業株式会社』人事部部長の角谷直樹氏、『株式会社東振精機』経営企画部部長の秦恵介氏、『株式会社トランテックス』総務・人事部グループ長の林豊晃氏の5名で、3つの議題を軸としたヒアリング形式の懇談は、約1時半の熱い議論に発展しました。

企業にとっても、学生による調査や外部からの視点を取り入れることで、日常の事業活動の中では見過ごされやすい問題や顧客・若年層からの見え方を再検討する機会となります。学生の提案をそのまま採用することを目的とするのではなく、企業と学生が調査結果や仮説を共有しながら課題の捉え方を更新していくことを、本事業では重視しています。
2026年度は、経済学部の5つのゼミナール(野林ゼミ、神﨑ゼミ、土屋ゼミ、佐藤ゼミ、梁ゼミ)が参加し、それぞれの参画企業とともに調査、分析、提案、検証に取り組みます。

1つ目の議題は「本学卒業生の活躍とその評価」です。
各企業の担当者は、実際に採用した本学卒業生の活躍ぶりを実例で示し、「会社の掲げる地域課題に興味を持っている」「目的意識がしっかりしている」「周囲を巻き込んで成果を上げるコミュニケーション能力に長けている」「地元愛が強い」「協調性を持って、上司や他部門、外部とも関わってくれている」「グローバル展開を図る我が社にとって国際交流の経験者がいることが頼もしい」「男性社員の多い職場でも、女性社員が責任感を持って活躍してくれている」など、好意的な意見や感想を連ねました。 中には「合同説明会時から目を引く学生が多い」といった採用活動時の振り返りもあり、「どういう教育をしているのかお聞きしたい」など、本学側のブランディングについての逆質問を受ける場面もありました。

司会者(村上教授)よりここまでのやり取りについて感想を求められた『石川県鉄工機電協会』の中山専務理事は、「協会に加盟する企業の中で実際に採用計画を立てているのが約2割、その中で今春の大学卒業者は半分くらいしか採用できていないのですが」と業界全体の状況を前置きしたうえで、「だからこそ懇談会の参加企業5社がいかに優れた採用活動をしているかを再確認できました」と目を細めます。その採用活動の先にある本学卒業生の活躍については、「第4次産業革命とも呼ばれる激動の時代でも、金沢星稜大学の学生が評価されている能力は求められていくのでしょう」と、高評価を寄せました。

2つ目の議題は「学生に大学卒業までに身に着けてきてほしい知識とスキル」です。
各企業の担当者は、「業界全体の情報収集」「世の流れを網羅する新聞を読む習慣」「情報を整理して伝える力」「聞く力」「現実に直面した時感じる無力感に耐えられる最低限の精神力」「興味を持ったことを突き詰めて楽しむ経験」「どんなものでも学ぶ習慣」「問題を見つける感受性とその解決へ向けての行動力」「周囲を巻き込む力」「失敗体験とその克服経験」「同年代の友人以外との交流」など、実践力や専門知識よりも基礎力や人間力の習得を求めました。
加えて「4年間の学生生活という恵まれた環境と時間を最大限に生かしてほしい」「専門知識は入社後にしっかり教育しますよ」など、心強いアドバイスもいただきました。

「すべきこと」に関する質問は後に、「本学と企業の実践教育における連携」へと展開します。学部再編の検討の一環で、「企業課題解決型プロジェクト」や「インターンシップ」を教育の柱に据える計画が進んでいる本学が、「どうすれば企業側から学ぶ(学生への課題提供や学生の受け入れの)機会を得られるのか」という、大学としての具体的な課題をヒアリングすることが目的です。
企業側からは、工業系だけでなく文系のインターンシップができる仕組みを構築した実例や、理系の学生向けに提供している「技術体験」のように営業や企画などの「戦略経験」の実施という形での協力ができるのでは…という発展的な意見をいただきました。
一方、AIの導入で各企業の文系職種の選択肢が狭まっている現状は否めないことから、製造部門としての受け入れを望む声もありました。製造部門とはいえ、調達担当や品質管理など文系での学びを活かせる部署は意外に多いとの話で、企業側の「ものづくりの楽しさ」そのものを伝える必要性など、自らの課題も提示しました。
今後は「企業と大学の歩み寄りや調整が必要な場面もある」と前置きしながらも、「もっと企業を利用してもいい」「少なくとも懇談会の参加企業5社が学校の依頼を断ることはない」と、頼もしい言葉をいただきました。

そして議題は最後(3番目)の「今後必要とされる人材」へ移ります。
企業や事業の環境や業務プロセスも大きく変化する現代において、「人間ならではの重要な役割がどのように変化していくのか」「その変化を受けてどのような知識、スキルを持った中核人材を増やしたいのか」など、5年、 10年先を見据えた企業側のビジョンを問いました。

企業側は、個々の自己意識が強く、他者への興味の欠けがちな現代だからこそ「目標とする人物像をしっかり語れる」「成果を上げている先輩の行動特性をマネして取り入れられる」観察力が重要と示し、「物事の本質を自分なりに見極められる価値観を持った人」「先輩上司を巻き込んで吸収できる人」「コミュニケーション力があり、協調性を大切にできる人」など、AIに頼らない人間性を求めていく意向が示されました。
また、人間の仕事を奪うとされるAIをうまく活用できるのはあくまでも「情報や内容を取り入れる人間の力」とし、「自分で考え、前向きに動ける人」「集団の中で自分と向き合い、何かを克服した人」など普遍的な強みを持った人材の必要性も説いていきます。文系の学生の有力な選択肢である事務系の進路がAIの台頭で狭まる中で、鍵となるのは「人間の役割の差別化」であり、「可能性を狭めない教育」の実施など、大学側の柔軟な変化も求めました。
「敷かれたレールで頑張ってきた世代は、失敗を他人の責任にしがち」と中高年世代の弱点を根拠として、「若者しかできない仕事が選べる今の世代のチャンスはむしろ大きい」と、不安視される少子高齢化社会を肯定的に捉える意見もありました。
さらに、「自責思考で自分の仕事を生み、可能性を広げてほしい」「企業を取り巻く変化の今後が見えにくい時代だからこそ、色々な人と協力し、巻き込みながら成果を出す力を」「ルールは変えるもの。現状維持は退化であり、前進あるのみ」など、学生の背中を押すような前向きなメッセージが数多く発せられました。

3つの議題を終えた後の総括を担った青木副学長は、「教職員と学生の距離が近いという本学の特徴を生かし、向上させる努力をしていきたい」と決意を表明した上で、「企業の方の来学は、学生が喜びます。今後も一層の協力をお願いします」と、今後のさらなる連携強化を求めました。
この声に「企業側も、学ぶところが多かったのではないかなと推察します」と笑顔で返した協会の中山専務理事は、「二人に一人が国公立や有名私立の大学生とされ、採用の競争も激化している」社会背景を憂いつつも、「今日参加した5社が金沢星稜大学に足繁く通うことが約束されましたし、懇談会を開催した意味は非常に大きかったと思います」と、懇談会の手ごたえを語りました。
最後は司会担当の村上教授が「企業の皆様に一方的な負担をお願いするのではなく、学生の教育効果という場のメリット、実施上の負担や状況を確認しながら、可能な連携を検討します」と結びの言葉を添え、今年度の懇談会は無事閉会となりました。