学長コラム
「共有体験を重ねること」
2026.06.09
5月から初夏にかけての、新緑を吹き抜けてくるみずみずしい風を表す季語に「薫風(くんぷう)」「風薫る」という言葉があります。この季節に郊外を歩けば、ニセアカシアのハチを集める甘い香り、ご近所から流れてくるバラやクスノキの上品な香り、田んぼ道では力強い青草の香りと、様々な自然の香りが風に乗って流れてきます。そうした折に、心にパッと思い出が浮かんでくることがあります。五感の中でも嗅覚は生物進化上の起源も古く、感情や本能をつかさどる脳の古い部位にダイレクトに情報が伝わり、古い記憶を呼び覚ますのだそうです。
他の動物たちと比べて、新しい脳の働きによる学習能力の高さに人類最大の特徴があるとされます。確かに、この高い学習能力が複雑な道具を作り出し、言語を用いた複雑なコミュニケーションを発達させ、高度な文化文明を築くことを可能にしました。この能力と比べるとかなり地味ですが、他者を信頼することができる、という能力もまた人類の重要な特徴です。血縁関係のない他者を信頼し、仲間となり、相互の信頼で結ばれた協力関係(すなわち社会)を築いてゆくこの能力こそが文化文明を生み出したのだ、という説もあるくらいです。
たまたま公園で初めて出会った子ども同士などは、年齢さえ近ければすぐに一緒に遊び始めることができます。お母さんも公園で初めて出会った高齢者に、自分の赤ちゃんを抱っこさせたりすることがあります。これは他者を信頼することができるという、人類の能力の表れの一つです。大人になると初対面ですぐ打ち解けて、行動を共にするというのは難しくなってきますが、それでも他者を信頼する能力が失われるわけではありません。強い連帯感で結ばれた仲間を意味する「同じ釜の飯を食う」という慣用句がありますが、まさに見る、聞く、食べるといった五感を使う身体的な活動や、同じ作業に取り組むなど共有体験を重ねることで大人同士も深い絆や信頼関係を築いてゆきます。そう考えると、普段の大学でのサークル活動やゼミでの共同作業は、他者と共有体験を重ねる貴重な時間だと思いませんか?
他の動物たちと比べて、新しい脳の働きによる学習能力の高さに人類最大の特徴があるとされます。確かに、この高い学習能力が複雑な道具を作り出し、言語を用いた複雑なコミュニケーションを発達させ、高度な文化文明を築くことを可能にしました。この能力と比べるとかなり地味ですが、他者を信頼することができる、という能力もまた人類の重要な特徴です。血縁関係のない他者を信頼し、仲間となり、相互の信頼で結ばれた協力関係(すなわち社会)を築いてゆくこの能力こそが文化文明を生み出したのだ、という説もあるくらいです。
たまたま公園で初めて出会った子ども同士などは、年齢さえ近ければすぐに一緒に遊び始めることができます。お母さんも公園で初めて出会った高齢者に、自分の赤ちゃんを抱っこさせたりすることがあります。これは他者を信頼することができるという、人類の能力の表れの一つです。大人になると初対面ですぐ打ち解けて、行動を共にするというのは難しくなってきますが、それでも他者を信頼する能力が失われるわけではありません。強い連帯感で結ばれた仲間を意味する「同じ釜の飯を食う」という慣用句がありますが、まさに見る、聞く、食べるといった五感を使う身体的な活動や、同じ作業に取り組むなど共有体験を重ねることで大人同士も深い絆や信頼関係を築いてゆきます。そう考えると、普段の大学でのサークル活動やゼミでの共同作業は、他者と共有体験を重ねる貴重な時間だと思いませんか?