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【経済学部/渡邉ゼミナール】SDGsの実践を通じた人材確保モデルの考案をテーマに共創インターンシップを実施しました

2022.01.17

12月2日(木)、6日(月)、20日(月)

令和3年度大学コンソーシアム石川『大学生の地元定着推進支援事業』採択課題「石川県中小企業家同友会との企業価値共創事業」の一環として、2年次渡邉ゼミの学生が、石川県中小企業家同友会と連携し、共創インターンシップを実施しました。学生たちは、石川県下で鉄工業を営む株式会社炭澤鉄工とともに、持続可能な開発目標であるSDGsの実践を通じた人材確保モデルを考案することをテーマに活動をしました。

1日目は、炭澤鉄工畝田本社において、工場を視察した後に社員の皆様とともに、解決すべき課題についてのディスカッションを行いました。北陸は製造業が盛んな地域として知られていますが、近年、その担い手となる人材の不足が問題となっています。学生たちは、人材の確保は企業の持続可能性に直結する問題であり、中小企業にとって、地域に関する造詣の深い地元出身者や、技術技能の継承者として期待される若者を人材として確保し、育成していくことが極めて重要であるとの認識を持ちました。

2日目は、炭澤鉄工示野工場において、工場の視察とグループワークを実施しました。SDGsはSustainable Development Goalsの略称であり、一般に「持続可能な開発目標」と訳されています。企業は持続的な発展を目指す存在であることから、企業活動は本来的にSDGsと高い親和性を有するものであると考えられます。学生たちは、SDGsの17の目標のうち、地元人材の確保に結び付くものを選択し、達成に向けた具体的な取り組みを、社員の皆様とともに検討しました。

3日目は、SDGsの目標を達成するための実践的取り組みが、人材の確保をはじめとする企業の持続可能性を高める好循環を生むことを示すモデルを作成し、報告会において発表しました。中小企業家同友会地域政策委員会の皆様を本学にお招きし、報告会を実施しました。

学生のコメント

経済学部経済学科 2年次 K・Kさん(福井県 北陸高等学校出身)
私たちは、炭澤鉄工さんの課題である「地域人材の確保」をテーマにSDGsの考えを利用しながら循環モデルを作成しました。炭澤鉄工さんを実際に訪れ、生で製造業の現状を見て私が今まで思っていた鉄工所の少し錆びた印象ではなく、工場がすごく綺麗だったのが印象的でした。ゼミでは地域人材の確保(企業側の受け皿の整え)→長期人材の確保→生産性の向上→職場環境の整備→時間の捻出(残業を減らす)→目玉商品の開発→知名度の向上(地域貢献活動)→地域交流の促進という循環モデルを作成しました。
難しかった点は、地域人材の確保に向けてどのような項目を設定するかという点で中小企業でもできる項目を考えることがすごく大変でした。炭澤鉄工さんとお話を進めていく中で若い人にどのようにして会社を知ってもらうかという課題に直面した際に、会社全体で地域貢献、ボランティアに取り組むことで、地元の若い人たちとの交流を増やすという意見の他、ゼミの中で話し合っていく中で目玉商品を開発することや中学校を訪問し中学生に対してアピールを行うなど自分の中になかった新たな視点を話の中で見つけることができ、とても刺激を受けることが出来ました。
発表を行う際私は地域人材の確保で企業側がどのように受け皿を整えるかという課題について考えました。地域人材を確保するために他の中小企業が行った対策や事例を調べ、炭澤鉄工さんにあったものを自分なりに考えるのはとても大変でした。他の学生と相談しながら「女性や、若手社員に就職説明会を担当させる」ことと「就活のトレンドを学び採用条件を見直す」という意見を出すことが出来ました。

経済学部経済学科 2年次 S・Mさん(富山県 南砺福野高等学校出身出身)
私たちは炭澤鉄工が抱える地元の人材確保という課題を含む8つのテーマをあげ、ループ状につなぎ、それぞれの課題に取り組むことにより達成できるSDGsの目標について考えました。長期人材の確保や知名度の向上などいろいろなテーマが出てきましたが、それを持続可能にするための円環構造にするのに苦戦しました。今までもある課題に対する解決策を考えたことはありましたが、イメージだけでこうしたら解決できるのではないかと簡単に思っていた取り組みが、今回実際に企業を見学し、企業について詳しく教えてもらうと、意外と自分が思っているより実現が難しい場合があるということがわかりました。
今回の活動を通して感じたことは、企業と学生との交流の重要性です。私はこのような機会がなければ、地元の企業を知る機会はなかったと思います。大きな課題でもあった地元人材の確保をするためには、このような地元の学生と企業が交流し、企業について知ってもらう機会が重要であると感じました。
また、今までSDGsは自分にはあまり関わりのないものだと思っていましたが、今回の活動を通じて、企業が抱える課題を解決するために具体的な取り組みを行うことで、SDGsの目標も達成できることがわかり、SDGsをより身近なものに感じることができました。

経済学部経済学科 2年次 M・Sさん(石川県 羽咋高等学校出身出身)
今回、私はインターンシップで「SDGsの実践を通じた人材確保モデル」について考えてきましたが、特に炭澤鉄工で働く従業員の方々のお話を聞いて一般社会の方針や認識と実際の製造業の現場の意見が異なっていることが印象に残りました。例えば、近年日本では少子高齢化の影響で労働力不足が問題視され、外国人労働者を受け入れるという考えがあります。これは中学校や高校の社会科等でも習うことですが、従業員の方々からすると、作業を教えるのに言語の壁がある、価値観の違いがあるといった問題があることがわかりました。この他にも大企業では働き方改革が進んでいるが、仕事を下請け企業に任せることで実施しているため、下請け企業の残業が増えていることや、新型コロナウイルスの影響でテレワークが推奨されているが、実際に物を扱う製造業ではその他の業種に比べて対応することが難しいことがわかりました。これらはあまり一般的には認識されていない問題だと思います。
今回、私たちのゼミは、企業が抱える問題を直接聞きながら実践可能な解決方法を考え、提案をしました。それはただ頭の中で自分の考えをまとめることよりも難しいことでしたが、大きな学びを得ることができました。