学長コラム

Seiryo管弦楽団の夢

2022.06.01

筆者撮影 麦秋の弦楽器でしょうか?(能美市北市町付近)

2022年ゴールデンウィークは、新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置に伴う行動制限も緩和され、3年ぶりに「風と緑の楽都音楽祭」を堪能しました。今年のテーマは「ロマンのしらべ」。

私にとって、ロマン派といえばシューベルト。歌曲「冬の旅」をフィッシャー・ディースカウ(1958-2012)のバリトンで一晩中飽きもせず聴いていた20歳代の孤独な記憶があり、レコード再生装置も無いのに未だに捨てられずにいます。

今年は、東京・京都・愛知の各交響楽団とオーケストラアンサンブル金沢の4つのオーケストラが次々とさまざまなロマン派の演奏を繰り広げたほか、駅地下広場での無料公演や街角ピアノなど100公演以上も開かれました。金沢星稜大学の直江学美教授(ソプラノ)と、連桃季恵講師のリトミック公演もありました。まさに楽都金沢、クラシック音楽であふれました。来場者も目標の7万人を上回ったとのこと。皆、待ち焦がれていたのですね。

もちろん、プロの演奏家たちだけではありません。県内各高校や市民ウィンド・ブラス、金沢大学フィルハーモニーや吹奏楽団なども、迫力ある演奏を聞かせてくれました。楽都金沢は学都でもあり、各高校や大学、市民楽団の水準の高さには目を見張るものがあります。願わくは、金沢星稜大学もこの中にいてくれたらなあと思わずにはいられませんでした。

ゴールデンウィーク後、今度は「金沢星稜大学スポーツ」(2022.5.25)の観戦・応援に出かけました。試合そのものは面白かったのですが、会場に何かが足りません。昔見た春の東京六大学野球早慶戦をうらやましく思い出しました。そうなのです。あれは単なる野球の試合を超えて、対戦大学同士の新入生研修の場になっているのです。校歌なり応援歌を声の限りに歌って応援する中で、自らも早稲田あるいは慶応の一員であることのアイデンティティを確認する場になっているのですね。結婚式披露宴でもしばしば見られる、たいていは新郎側の大学校歌や応援歌、「えっさっさ」などの演舞は、やや時代錯誤の感はありますが、それだけに母校にたいする限りない愛を感じさせます。

そうなのです。球場や競技場には勝っても負けても選手を激励し、慰労する「白山の 虚空を翔ける」の学歌・応援歌がないのです。

先日、金沢星稜大学同窓会を代表して、上野雅司会長と端保聡副会長が大学にお見えになり、歓談する機会がありました。端保副会長は石川ミリオン・スターズの球団社長(代表取締役)でもいらっしゃいますから、野球場の応援が話題になると、たちまちにして意気投合。上野会長ご自身もサックスの名演奏家ですので、話はさらに拡大して大いに盛り上がりました。

金沢星稜大学・短大に楽団が必要だ。同窓会も可能な限り応援する。管弦楽はいきなりは無理だろうが、吹奏楽なら何とかなるのではないか。年に数回の定期演奏会のほか、入学式・卒業式にも出演してもらい、学歌も演奏してもらえないだろうか。音楽祭や市民へも公開して、Seiryoの音楽文化知名度を高めようではないか。幼稚園から中高・大学&短大、さらにはOG/OBの合同演奏会などもいいね。今年の稲置学園創立90周年には無理でも、10年後の100周年事業には記念演奏会が開けるのではないか、などなど。

音楽は地域の重要な文化・芸術の一領域です。金沢星稜大学と短大の中にも音楽が得意な学生たちがたくさんいることは、秋に行われる大学祭「流星祭」のステージを見れば一目瞭然です。

学生支援課によれば、現在学内の文化サークルには、吹奏楽部28名、軽音楽部111名、ジャズバンド12名、クラシックギター28名が活動しているとのこと。このほかにも個人でピアノを弾いたり、楽器に親しんでいる人たちはもっとたくさんいるのではないでしょうか。

本学には幸い本格的で大きなコンサートホール稲置講堂がありますし、教員・職員の中にも音楽・文化行政の専門家がおられて、様々なアドバイスも受けることができるように思います。

学生の皆さんが文化芸術の領域でもっともっと自らも楽しみながら、学生生活を豊かにし、地域に貢献できる道があるのではないかと思いました。

Seiryo吹奏・管弦楽団。私の夢です。