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【経営学科/観光事業論】宿泊ビジネスの起業とコロナ禍の取り組みについて理解を深めました

2022.12.21

12月1日(木)

経営学科の専門教育科目「観光事業論」では、国宝・善光寺(長野市)の門前にある宿泊施設〈1166バックパッカーズ〉の経営者・飯室織絵さんをお招きし、宿泊業の起業に至るまでの背景や動機、開業資金や毎日の売上に対する考え方、コロナ禍での経営課題とそれを乗り越える方法等についてお話いただきました。また、飯室さんの大学生活と20代の頃の働き方についても伺いました。

(文:担当教員 石川美澄准教授)

学生のコメント

経済学部経営学科 3年次 A・Rさん(石川県 金沢西高等学校出身)
飯室さんの経営方針がとても素敵だなと今回の講義を通して感じました。部屋の単価をその地区の最低額にしないというポリシーにもしっかりと理由があって、自分が経営するゲストハウスの価値や存在意義をブレさせないことにもつながっているのだとわかりました。このゲストハウスは、泊まりに来るゲストだけでなく地域住民の交流の場となったり、地域のお店同士や人をつなげて地域活性化にも結びついていたりするので、ホテルや旅館とは違って人とのコミュニケーションが取れるという価値があると思いました。そこがゲストハウスの醍醐味なのだと思います。

経済学部経営学科 3年次 K・Mさん(石川県 野々市明倫高等学校出身)
どんなお客様でもウェルカムという考え方ではなく、宿側と宿泊するお客様のマッチングを重要視していると感じました。また、お客様に予約の段階で念入りに対応することで、双方のギャップをなくしていると感じました。この方法は大変な手間がかかりますが、とても重要な作業だと感じました。さらに、求めているものが違うと感じたお客様には代案を提示していると聞いて、とても親切だなと感じました。私は一度もゲストハウスに宿泊をしたことがないので、この講義を通して宿泊してみたいと感じました。

経済学部経営学科 3年次 T・Mさん(石川県 星稜高等学校出身)
お話の中で「断れる余白」という言葉が非常に印象的でした。ゲストハウスは他者との距離が物理的にも心理的にも近いというイメージが本当に強かったので、交流を望まなくむしろ自分の時間を大切にしたいという対照的なお客様にまで気を配られていたところに惹かれました。たまたま旅先で出会った人たちとの時間を楽しめるだけではなく、自分との対話を楽しめるというゲストハウスの新たな魅力を知ることができて良かったです。

講義を終えて、飯室さんより学生たちにむけてのメッセージを頂戴しましたので、そちらも添えてお届けします。

授業に参加してくれたみなさんへ

今回は経済や経営のことを学んだことがない飯室が、大学生のみなさんにどんなことをお話できるかしらと臨んだ授業でしたが、授業後のコメントを拝読し、楽しく聞いてくださった様子が分かりホッとしました。

授業に出られた学生さんの多くが3年生。つまりコロナ禍のスタートとともに大学に入学し、コロナ禍のなかで学生生活を過ごされていると思います。様々な制約のなかで、皆さんがこれまでとは異なる時間の楽しみ方を見出している一方で、 “大学生がゲストハウスに泊まっているだなんて!” と驚かれていることからもわかるように、当たり前だった時間の使い方が、当たり前ではなくなっていることを再認識しました。

飯室の経歴について、 “自分は周りに流されてしまうタイプなので「自分のやりたいことをやるのが当然」という考え方で行動されてきていて自分もそういう風に生きたいと思いました。” とコメントを書いて下さった方がいましたが、私だって周りに流されるばかりです。大事なのは、周りにいるのがどんなひとかということ。人生を楽しんでいるひとの近くにいれば、自分のネガティブな気持ちもプラスに転じるかもしれません。 ”自分の周りには、そんなポジティブなひとはいないなぁ” なんて思ったら、ぜひいつもと違うひとたちの世界に片足だけでも踏み入れてみてください。

ありがたいことに、 ”ゲストハウスに泊まってみたくなった” と感想を残してくれた学生さんが多く、こちらとしては、ぜひぜひ!という気持ちです。ゲストハウスは日常生活では交わらないような年齢、国籍、肩書き、職業、生き方をされている方とフラットに出会える場所です。いつか長野でみなさまとお会いできる日を楽しみにしています。

飯室織絵