学長コラム
2024年 Seiryo教育改革宣言
2024.01.01
皆さん、明けましておめでとうございます。皆さんお一人おひとりにとって今年が良い年でありますように。そして世界に平和と安寧がもたらされますように。私も微力を尽くしたいと思います。
2024年は「辰(龍)」年。昇龍などといわれるように、物事が勢い良く変化して活気のある年とされます。そこで私は本年を「Seiryo教育改革の年」とし、本学の新しい教育システムを「STEAM-D」と名付けて、その実現とさらなる充実に努めます。
①地域システム学科新設の意義
その一つは4月から経済学部に立ち上げる「地域システム学科」です。地域の“魅力”を見出し、“活力”を生み出すための総合的な知識と実践力を培います。フィールドワークに基づきながら、地域経済・公共政策・観光の横断的な学び、地域課題の解決にむけたデータサイエンスとICTを活用した学びが特色です。
②星稜STEAM-D教育
新しい教育システムは学科新設にとどまりません。星稜のSTEAM教育をスローガンに、星稜の教育・研究全体を大胆に変革していきます。STEAM教育というのは、文科省もいうように、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念です。昔ながらの文系・理系という二つのタイプに分けた教育ではなくて、様々な分野の知識や技能を総合的に活用し、社会に横たわる複合的で多岐にわたる問題や課題を解決できる「総合知」を育もうとする概念です。しばしば「文理融合」教育とも言われますが、それだけではありません。標語の中にArt(s)が含まれていることの意義を確認しておきたいと思います。
③リベラル・アーツ-自由になるための術
Artは、しばしば芸術と狭義に捉えられがちですが、本来はリベラル・アーツ(liberal arts)のことです。本来人間が「自由になるための諸芸」(liberal arts)でした。ですから、リベラル・アーツは単なる教養ではなくて、「どうしたら人間は幸せに生きられるのか」を考え、立案し、実行する力を身につけることが主眼です。
スーパーコンピュータも人工知能(AI)も宇宙ロケットもめざましく発達を遂げている一方で、新たな核兵器の脅威にさらされ、世界各地に頻発する戦争と紛争、対立と混乱、貧富の格差拡大の進行、そして温暖化にともなう激しい気候変動などに、為す術を知らないという状態に陥っています。
こんなはずではなかった。しかもそのことに自分の責任は全くないとも思い込んでいるところがあります。私は大学人として、この思い込みが専門分化し過ぎた教育の偏重に伴う欠陥によるものだったととらえています。学問の専門分化自体は高度化のために必要なことですが、専門化には常に同時に様々な専門を俯瞰し総合する知を随伴せねばなりません。自分だけでなく世界の立場から、どうしたら人間は幸せに生きられるのかを考え、立案し、実行できる自由なる人間の育成こそがSTEAM教育の本質だと思います。
④「総合知」のために-クレオールで知の閉そく性を打ち破る
教育・研究における様々な専門を横断する「総合知」と言っても、いきなりそこに到達するのは難しいものです。そこで提案するのは先ずは、2つないし3つの分野の掛け合わせです。冒頭の地域システム学科が地域×経済×データサイエンス等ですし、経済学×観光学×スポーツ科学、歴史学×地理学×音楽学なども面白いかもしれません。教育機関でいえば、大学×中学・高校×小学校・幼稚園。学生×職員×教員の掛け合わせも新しい総合知を生み出す可能性があります。文化人類学や言語学では、異質なものの掛け合わせから生まれた新しい存在や概念、あるいはハイブリッド化した言語をクレオール(Créole)というようですが、クレオールは無限の可能性を秘めています。皆さん、現在の社会や学問におけるいわば知の閉そく性を打破するためにも、失敗を恐れず、勇気をもって大胆に掛け合わせて(クレオールして)いきましょう。
⑤Seiryo の教育改革宣言-「STEAM-D」
このようにDXを活用しながら、教養教育はもとより、各学部・学科の改編、専門教育まで含んで、金沢星稜大学が自ら積極的に変わっていこうとする基本姿勢をSTEAM教育と掛け合わせることにより、Seiryoの教育改革宣言(Seiryo Transformative Education for Arts and Mathematic by DX)、略して「STEAM-D」と名付け、実行してまいります。
以上年頭に当たっての所感です。
2024年は「辰(龍)」年。昇龍などといわれるように、物事が勢い良く変化して活気のある年とされます。そこで私は本年を「Seiryo教育改革の年」とし、本学の新しい教育システムを「STEAM-D」と名付けて、その実現とさらなる充実に努めます。
①地域システム学科新設の意義
その一つは4月から経済学部に立ち上げる「地域システム学科」です。地域の“魅力”を見出し、“活力”を生み出すための総合的な知識と実践力を培います。フィールドワークに基づきながら、地域経済・公共政策・観光の横断的な学び、地域課題の解決にむけたデータサイエンスとICTを活用した学びが特色です。
②星稜STEAM-D教育
新しい教育システムは学科新設にとどまりません。星稜のSTEAM教育をスローガンに、星稜の教育・研究全体を大胆に変革していきます。STEAM教育というのは、文科省もいうように、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた教育概念です。昔ながらの文系・理系という二つのタイプに分けた教育ではなくて、様々な分野の知識や技能を総合的に活用し、社会に横たわる複合的で多岐にわたる問題や課題を解決できる「総合知」を育もうとする概念です。しばしば「文理融合」教育とも言われますが、それだけではありません。標語の中にArt(s)が含まれていることの意義を確認しておきたいと思います。
③リベラル・アーツ-自由になるための術
Artは、しばしば芸術と狭義に捉えられがちですが、本来はリベラル・アーツ(liberal arts)のことです。本来人間が「自由になるための諸芸」(liberal arts)でした。ですから、リベラル・アーツは単なる教養ではなくて、「どうしたら人間は幸せに生きられるのか」を考え、立案し、実行する力を身につけることが主眼です。
スーパーコンピュータも人工知能(AI)も宇宙ロケットもめざましく発達を遂げている一方で、新たな核兵器の脅威にさらされ、世界各地に頻発する戦争と紛争、対立と混乱、貧富の格差拡大の進行、そして温暖化にともなう激しい気候変動などに、為す術を知らないという状態に陥っています。
こんなはずではなかった。しかもそのことに自分の責任は全くないとも思い込んでいるところがあります。私は大学人として、この思い込みが専門分化し過ぎた教育の偏重に伴う欠陥によるものだったととらえています。学問の専門分化自体は高度化のために必要なことですが、専門化には常に同時に様々な専門を俯瞰し総合する知を随伴せねばなりません。自分だけでなく世界の立場から、どうしたら人間は幸せに生きられるのかを考え、立案し、実行できる自由なる人間の育成こそがSTEAM教育の本質だと思います。
④「総合知」のために-クレオールで知の閉そく性を打ち破る
教育・研究における様々な専門を横断する「総合知」と言っても、いきなりそこに到達するのは難しいものです。そこで提案するのは先ずは、2つないし3つの分野の掛け合わせです。冒頭の地域システム学科が地域×経済×データサイエンス等ですし、経済学×観光学×スポーツ科学、歴史学×地理学×音楽学なども面白いかもしれません。教育機関でいえば、大学×中学・高校×小学校・幼稚園。学生×職員×教員の掛け合わせも新しい総合知を生み出す可能性があります。文化人類学や言語学では、異質なものの掛け合わせから生まれた新しい存在や概念、あるいはハイブリッド化した言語をクレオール(Créole)というようですが、クレオールは無限の可能性を秘めています。皆さん、現在の社会や学問におけるいわば知の閉そく性を打破するためにも、失敗を恐れず、勇気をもって大胆に掛け合わせて(クレオールして)いきましょう。
⑤Seiryo の教育改革宣言-「STEAM-D」
このようにDXを活用しながら、教養教育はもとより、各学部・学科の改編、専門教育まで含んで、金沢星稜大学が自ら積極的に変わっていこうとする基本姿勢をSTEAM教育と掛け合わせることにより、Seiryoの教育改革宣言(Seiryo Transformative Education for Arts and Mathematic by DX)、略して「STEAM-D」と名付け、実行してまいります。
以上年頭に当たっての所感です。