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【金沢星稜大学市民講座】(第97回)「マイクロファイナンスと女性の貧困」を開催しました

2023.12.22

11/04(土)

今回は、木村正信 経済学部教授が標題のテーマで講義を行いました。

冒頭は「貧困の罠」という言葉から始まりました。これは家計に余裕がないと、教育を受けられなくなり、良い職に就けなくなり、低い収入となるため教育を受けられなくなるという負のサイクルを表し、一旦この状況に陥るとなかなか抜け出せなくなります。

途上国でも、銀行がない時代に、金貸しや農民同士の寄り合いなどが存在しましたが、借り手の行動が読めないので借金を踏み倒される可能性があるため高い利息にならざるを得ず、ますます借り手は貧困になるという悪循環が起こっていました。金貸しは、農民の技能について判断が可能であれば、高い技能の農民には20%の金利、低い技能の農民には100%の金利と差別化を図れるのですが、その判断ができない場合は、上記の中間をとって60%の金利となり低い技能の農民しか借りないため、債務不履行が増加して結果的に金利が上がるという状況になっていたのです。

この対策として、1983年にマイクロファイナンスというサービス(グラミン銀行)が登場します。これはバングラディシュ出身の経済学者であるムハンマド・ユヌス氏が、農村開発研究プロジェクト(実証調査)としてスタートさせました。途上国のある村で、いくつかのグループを作りそのグループに融資して返済を求めるもので、個人よりもリスクを減らせることになり、グループ内では助け合いを身上とするものなので、安定的に運営することが可能になりました。

特徴としては、無担保の互助グループでセンターを形成し、教育訓練(考え方、規則、手順を学ぶ)を施すことですが、何といっても加入者の97%が女性であることが印象に残りました。この制度により、女性の社会的地位が向上し社会活動に参加するきっかけとなり、さらに良い教育を受けることが可能となりました。たいへんな成功事例といえます。その後は、インドの非営利組織が行っているマイクロファイナンスの実例を紹介し、マイクロファイナンスによる女性の貧困緩和効果を検証しました。

今回の講座終了後には、受講者から、「大変勉強になりました。また、参加させていただこうと思いました。」などの感想が寄せられました。参加いただきました皆様、ありがとうございました。

木村正信教授の研究紹介

【学内助成(個人研究)】
・不完全競争と均衡乗数