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【金沢星稜大学市民講座】(第104回)「睡眠と運動の科学」を開催しました

2024.11.21

10/12(土)

塩田耕平人間科学部准教授が、標題のテーマで講座を行いました。
今回は、睡眠の科学、運動の科学、睡眠と運動に関する研究紹介と3つの内容についてお話されました。

睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があり、レム睡眠は体が休まっていて脳が休まっていない状態、逆にノンレム睡眠は脳が休まっていて体が休まっていない状態であり、レム睡眠の時に夢を見ることが多いです。脳波を計ると、レム睡眠では動きがあり、ノンレム睡眠では動きが少なくなっています。過去に、マウスにエサや水は十分に与え、睡眠をとらせないという実験を行ったところ、マウスは本来の寿命より圧倒的に早く死んでいきました。これは、睡眠をとらずにずっと起きていることで、エネルギーを浪費し続け、それがストレスに繋がってしまい、十分に食べているにもかかわらずやせ細って死に至ってしまうためです。最近は、いかに睡眠時間を削ってパフォーマンスを上げるかを考えがちですが、起きている時間にいかにパフォーマンスを上げるかを考え睡眠を確保することが大事なのです。

次に、運動の科学・運動生理学についてのお話に移りました。生理学は生体の機能を研究する学問であり、今回は特に運動に必要な骨格筋・関節について取り上げました。骨格筋は、運動をするために、関節を動かす際になくてはならない筋肉です。関節は、骨格筋が骨に腱でつながっていて、その筋肉の収縮で動かすことができます。これは、脳が指令を出して収縮します。 筋肉の組織は、そうめんのような筋繊維が一本一本集まって、一つの束になり、さらにその束が集まって筋肉を組織するというイメージです。筋肉全体が収縮するのではなく、筋繊維1本1本が収縮しているのです。


最後に、運動と睡眠の関係性について研究事例を紹介しながら説明がありました。夕方に運動を行うと、深い睡眠の状態の時間が増え、睡眠の質を向上させる可能性が示唆されているそうです。また、夜間に強い負荷がかかる運動をすると普通に寝ることはできるので表向きに変化はありませんが、深部体温(脳や臓器など体の内部の温度)が高いままなので体にはよいとは言えないそうです。あまり無理をせずほどよい運動が有効とのことでした。
また、睡眠時間を長くすると運動競技のパフォーマンスが上がり、逆に睡眠時間を短くすると運動競技のパフォーマンスは変わらないが脳(認知)のパフォーマンスが下がるとの報告がありました。

参加された方からは、「睡眠や運動の最先端の研究を分かりやすく教えていただき参考になりました。」、「パフォーマンスを上げる睡眠についてのお話をもっと聞いてみたい。」といったお声をいただきました。

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。