学長コラム

「能登半島地震から3年目:Seiryoの孫になろう」

2026.01.01

皆さん、明けましておめでとうございます。皆さんお一人おひとりにとって今年が良い年でありますように。4年目を迎えるウクライナ戦争も気がかりです。世界に平和と安寧がもたらされますように。

元旦。2024年1月の能登半島地震・9月の奥能登豪雨の被災から3年目を迎えます。一日も早い復旧復興を祈っていますが、なかなか難しい課題があることも事実。ことに若者人口の減少は深刻です。被災の能登6市町では震災から1年半で9600人あまり(七尾市以北で8.1%)減少とのこと。(YouTube テレビ金沢NEWS 2025年8月5日 OA)

12月14日(日)、東京都内で「江戸城天守再建築城シンポジウム」なる会合がありました。江戸城には徳川家康が1607年築城した「慶長度江戸城天守」があったとされますが、1657年明暦の大火(いわゆる振袖火事)で焼失。1658年加賀藩第5代藩主前田綱紀が「万治度天守台」として土台となる基礎工事部分を完成させました。つまり江戸城と加賀藩の結びつきは思いのほか強いことになります。しかし為政者 保科正之や新井白石は、江戸城下の市中復興を優先し、天守の再建は時期尚早として結果的に見送られて現在に至っているとのことです。

築城予算550億円、年間経済効果1千億円。これぐらいならば民間資金の活用(PFI)で十分だとの強気の見立ても示されました。全国に点在する宮大工の減少によって20年後には建築不可能になるとの危機感もあって、今がその時だとの声も高まっているようです。若手の財界人たちの熱気あふれる斬新なアイデアだと面白く拝聴しましたが、私が違和感をぬぐえなかったのは、石川県にとって今、焦眉の急は能登半島地震からの復旧・復興です。大勢の方々が登壇し、様々なお考えを披歴いただきましたが、残念ながらどなたからも能登半島への言及がありませんでした。ああ東京ではもう能登は話題にも上っていない。

金沢星稜大学では第4次中期計画(2024-2028)に「能登半島の創造的復興とともにあゆみ、地域創生に貢献する全学的な取り組みを推進する」目標を加え、これまで「創造的復興論の開講や復興に関するさまざまな事業およびその支援へ向けて全学的に取り組んできました。もとより人文社会系の小規模大学(入学定員1500名以下)ですから、その取り組みも限られます。それでも学生、職員、教員がゼミナールやサークル単位で地域と連絡を取りながら年間150件に近い活動を行っています。ボランティア活動はどのようなものであれ、それ自体が尊いとは思いますが、警察や消防、あるいは自衛隊、業者さんと異なって、さまざまな技能、実力を持つ集団ではありません。また、指示された特定の労働をこなすだけでは、学生の教育的なボランティアの意味合いが薄れてしまうかもしれないと考えています。
学生たちが現場に赴き、そこで何が問題なのかを発見し、その問題を解決可能な課題に設定し、考えながら実行するという点に教育的意味があるように思います。つまり、問題発見・課題解決能力を身につけることができます。また、ボランティア活動を通して、自分が社会の一員であり、自分の存在そのものや興味をもって学んでいる学問が社会を少しでも良くすることに結びついていることに気づくことで、学生の人間的成長に大きく貢献すると考えています。

その意味で私は本学の学生、教職員に機会をとらえて積極的にボランティアに参加するよう呼び掛けています。

金沢星稜大学の学生の皆さん、教員、職員の皆さん。個人や友人同士、ゼミナールやサークル、部活動、職場単位など、折を見てさまざまな能登支援に出かけましょう。自分たちの体力やボランティア技能に合わせて、無理のない活動で。まるで孫たちがおじいちゃんやおばあちゃんに会いに来てくれたように。3年目の能登被災地の創造的復興には「Seiryoの孫になろう」を合言葉にしたらどうでしょう。大学ではそのようなボランティア活動を全面的に支援いたします。詳しくは本学SDGs産学地域連携センターまでご相談ください。

筆者撮影「2024.1.1地震直前の金沢城にて」

参考文献
テレビ金沢NEWS.(2025年8月5日).『【能登6市町の人口減】震災から1年半で9600人あまり減少 合計11万人を切る』[動画].YouTube.(2025年12月24日最終閲覧),https://youtu.be/ERJdKTY4jG0?si=QxDU9LkooHEbanTk
一般社団法人IKIZAMA『江戸城天守再建築城シンポジウム』パンフレット(2025)
一般社団法人IKIZAMA『EDO CASTLE TOWER RECONSTRUCTION ROUND TABLE BOOKLET 2025』