学長コラム

「金沢マラソン、大阪・関西万博を終えて」(能登応援メッセージ)

2025.11.01

2025年10月26日(日)、秋の街並みを駆け抜ける第11回「金沢マラソン2025」が行われました。あいにくの秋雨にもかかわらず、国内外からこれまでの最多1万5,589人が参加。7時間の制限時間内の完走者はなんと14,790人(94.9%)に上ります。今年度も上位で完走した本学の西村貴之教授(スポーツ経営学)によれば、これを可能にしているのは沿道の声援とのこと。この大会には能登地区被災9市町の「能登地域ランナー枠」(約500人)が設けられ、参加費は無料。コースの中盤、金沢市東山付近には「能登応援スポット」が設けられ、能登の名産品や菓子が提供されたとのこと。また一般参加者の参加料と合わせて「能登復興応援チャリティ募金」(500円)も実施されるなど、能登半島の復興を後押しする試みがよく工夫されて取り込まれておりました。

私も杜の里付近で傘を差しながら声援を送りました。特別ゼッケンの能登枠ランナーには、沿道からとりわけにぎやかで温かな声援が送られていたことが印象的でした。能登半島被災地を支援したいと思いつつも、現地に直接出向くのはまだまだ簡単なことではありません。このように金沢にいながら応援できるならば、喜んで応援しようという気にさせられます。能登の持続的な復興支援のためには、金沢や加賀地域も共に元気でいることが不可欠だと改めて気づかされました。

さて、4月13日(日)から10月13日(月・祝)までの184日間、大阪市夢洲(ゆめしま)で開催された大阪・関西万博。当初の目標入場者数2,820万人には届かなかったものの、2,500万人を超える来場者を記録し、大いに盛り上がって成功裏にその幕を閉じたと報じられています。石川県も豊かな「祭り」や「食文化」をはじめとする多彩な文化の魅力を国内外に発信するため、万博に国際文化交流を通じて平和へのメッセージを発信するとともに、令和6年能登半島地震からの復興に向けた取り組みについて紹介し、これまでの多くの支援に感謝の想いを込めてイベント出展したとのことです。もどかしいまでに少しずつではありますが、能登半島の復興も進められていることは間違いありません。

万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」でした。しかし現実にいのちや生業の基盤が脅かされ、急速に過疎化が進む能登の被災地には、未だ輝く未来社会の姿を容易には思い浮かべることができません。能登も万博も両方とも重要な意義があり、同時進行で進められるべきであり、それは実現可能だとされてきたわけですが、万博が終了した今、その資源やエネルギーは再び能登半島の創造的復興に集中的に投下されてしかるべきではないでしょうか。「いのち輝く能登の未来社会のデザイン」が今、真剣に求められているように思います。

金沢星稜大学では2024-2028年度中期計画目標に「能登半島の創造的復興と共にあゆみ、地域創生に貢献する」と明記し、「創造的復興論」の開講をはじめ、教員・職員、学生が一体となった様々な取り組みを進めています。詳しくは本学ホームページ『金沢星稜大学SDGs産学地域連携センター活動報告書2024』ほかをご覧ください。

筆者撮影「晩秋早朝の浅ノ川。日の出も6時15分台と遅くなりました」

参考文献 北國新聞、2025.10.27
大阪・関西万博公式WEBサイト
金沢星稜大学SDGs産学地域連携センター活動報告書2024